【社会人インターン・受け入れ先からの視点】「経営者の視点を伝える。受け入れ側も刺激になります」~(株)かきうち農園・代表取締役・垣内清明さん

 
大人の武者修行の受け入れ事業者である(株)かきうち農園・代表取締役の垣内清明さん

こんにちは、「30歳からのインターンシップ」編集長の杉山です。

会社をやめずに異業種の企業で3日~数カ月間にわたって働ける、社会人インターンが、「大人の武者修行」。体験者の声に加えて、受け入れ先の声も聞くことで、その内容が多面的に理解できます。

そこでご登場いただいたのが、過去に数人の参加者を受け入れている、(株)かきうち農園・代表取締役の垣内清明さんです。

2017年11月6日に名古屋で催された事業説明会に登壇した時のコメントをまとめました。
同社で修行をした田村さんの記事と合わせて、ぜひご参考ください。


かきうち農園の事業内容は?

三重県南部、紀伊半島の南端でみかん農園をしています。私自身は、大学を卒業し、重電メーカーに勤めた後、2000年に家業の兼業農家を継ぎ、今に至っています。
このあたりは温暖であることから、1年中みかんを収穫できます。弊社でも、早生みかんやポンカン、甘夏など15種類のみかんを栽培しています。

販路は自社で開拓しており、ダイレクトメールを送っているお客様は現在2000人ほどいます。また、京都の一部上場企業の社員様向けにも産地直送で販売しています。

近年の課題は、販路よりも、生産規模の拡大と人材の育成ですね。
2000年の開業当初は、作付面積は0.7ヘクタール程度に過ぎなかったのですが、生産量が足りなくなり、徐々に拡大していきました。現在は、12ヘクタール、東京ドーム3~4個分にまで広がっています。また、当初は母と私の二人だけだった従業員も増やしており、現在は10人。若い人材も入ってきていまして、新卒入社した人もいますし、先月もIT機器メーカーを退職した20代の男性が入社しました。女性の割合も多いですね。

かきうち農園のホームページはhttps://www.kakiuchinouen.com/

「大人の武者修行」の受け入れ先として手を挙げた理由は?

地方全体に言えることだと思いますが、うちの地域も少子高齢化で人口が激減し、町が衰退していく一方でした。しかし、私は、地域の元気を取り戻していきたい。そのために、自分には何が出来るかという観点から、さまざまなチャレンジをしてきました。大人の武者修行の受け入れ先になったのも、その一環です。

参加者にはどのようなことを体験してもらっているのか?

企業の最前線で活躍している人が、うちで学ぶことがあるのか? というプレッシャーもあったのですが、最終的には、「ありのままの姿を見せて、良くも悪くも吸収していってもらえれば良いのでないか」と考えました。
そこで、修行者として訪れた人には、私が出向くところに同行していただき、私がどのような考えを持って、行動しているのかを伝えるようにしました。

普段、自分の会社にいたら、トップが日々何を考えて、行動しているのかはなかなか見えないはず。それを見せようと思ったのです。そうすれば、会社に戻った時に、「トップはこういうことを考えて決断しているんじゃないかな」と想像がつくようになるし、目の前の業務に対する見え方も違ってくるのでは、と考えました。
修行者の声を聞く限り、今のところ、それが良い方に働いているようです。

受け入れ側にもメリットはあるのか

農作業現場はチームワークやコミュニケーションが重要ですが、いつも同じメンバーで、同じ人が同じ人に作業を教えていると、マンネリ化してくるんですよ。
そんななか、異業種から新しい人が入ってくると、雰囲気が和むし、刺激にもなります。修行者から意見を聞くことで、今まで気づかなかったことに気づき、勉強になることも少なくないようです。仮にちゃんとやっていないことがあった時に、私が何か注意するより、第三者から「これで良いんですか?」と指摘されたほうが、素直に聞き入れやすいようですね。

また、修行者に指導している内容を、従業員たちは横で聞いています。それを活用して、修行者に言うように見せて、実は従業員たちに伝えていることもあります。実は、大人の武者修行は、受け入れ側の従業員の育成にもつながると思いますね。

今後の展開について

今後も希望者がいれば受け入れていきますが、一方で、田村さんを始めとした若い修行者の姿を見ていると、「うちの社員も、他社に行ってもらわなきゃあかんな」と思うようになりました。積極的に他社での経験を積んでもらうことは、必ず、本人のためにも会社のためにもなります。行かせてあげられるだけの余裕をつくることが経営者の役目だと考えています。
(了)

「大人の武者修行」の詳細は以下をご参照ください

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杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://officekaitai.xsrv.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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