【150名以上が参加】海外のNGOに単身乗り込み、現地の課題を解決! 会社を辞めずに、タフな体験ができる「留職プログラム」を取材しました

 
インド農村部の医療改善に取り組む社会的企業で、遠隔診療の効率化に向けたAndroidアプリ開発に取り組んだ、電機メーカーのエンジニア

こんにちは、「30歳からのインターンシップ」編集長の杉山です。

社会人向けのインターンシップは、目的別に大きく分けると、「転職・就職先を見つけられる」タイプと、「仕事の能力や人間力を鍛えられる」タイプの2種類があります。

そのうち、「仕事の能力や人間力を鍛えられる」タイプで、主流になりつつあるのが、
数週間~数ヶ月の間、異業種の企業や団体などで、一人の社員として働く
というもの。

今の会社に在籍したまま、チャレンジできる仕組みになっているプログラムも多く、新たな研修メニューとして取り入れる企業が増えています

現在は、この種のプログラムを、いくつかの企業が手がけていますが、なかでも、最もハードな体験ができるのは何か? といったら、「留職プログラム」でしょう。

インドやインドネシア、カンボジアなどの新興国に派遣される

留職プログラムは、一言でいうと、「新興国の社会課題解決に取り組む団体に、数カ月間、たった一人で飛び込み、現地の課題を解決してくる」というプログラムです。

このプログラムを運営しているのがNPO法人クロスフィールズ。経営コンサルティング会社出身の小沼大地さんと松島由佳さんが、このプログラムを始めるために、2011年に立ち上げました。2012年に初めての“留職者”がベトナムに留職して以来、2018年5月末までに、32社・約150人の留職者を送り出しています。

同社は、インドやインドネシア、カンボジア、ベトナムといった新興国のNPOや社会的企業、数百団体とのパイプを持っています。それらの団体が抱えている課題をふまえながら、留職者となる企業の社員が本業で培ったスキルと経験をマッチングし、2か月間の事前研修を経て現地に派遣しています。派遣期間は2~3カ月が多いそうです。

インドネシアの医療系のNGOで医療廃棄物処理のオペレーションに取り組んだ医療機器メーカーの社員

課題もあいまい、設備も乏しい、限られた期間で結果が必要。きわめてタフな環境

新興国の社会課題の現場に一人で乗り込むだけでも、十分にハードなことが想像できますが、実際に行ってみると、想像以上の困難が待ち受けているようです。

まず、「現地の課題を解決」といいましたが、その肝心な課題がぼんやりしていることも多いようで、「IT戦略を立案したい」なら良い方。「好きにやってくれ」と言われることもあるようです。こうなると、本質的な課題を探り当てることからはじめなければなりません。

カンボジアの貧困層向けに職業訓練を行い、自立を支援する社会的企業に留職したIT企業のエンジニア

新興国なので、設備や部品が日本のオフィスや研究所ほど揃っていないのも当たり前だとか。インドネシアに派遣された食品メーカーの研究者は、「ラボ」だといって案内された場所が、台所にまな板と鍋しかない掘っ立て小屋のようなところで、愕然としていたそうです。

しかし、途方にくれている暇はありません。現地の団体は「日本の企業で第一線で活躍する社員が課題を解決しにきてくれた」と大きな期待を寄せています。現地としても受け入れの手間やコストはかかりますから、何もしないで帰られたらたまりません。数カ月の限られた滞在期間のなかで、なんとしても結果を出さなくてはならないわけです。

そのプレッシャーは、普段の会社では絶対に感じられないほど大きなものでしょう。前出の食品メーカーの人は、慣れない環境とプレッシャーから体調を壊し、しばらくの間、何もできなくなってしまったといいます。

苦難を乗り越え、現地の役に立つことが、とてつもない自信に

しかし、「このような環境だからこそ、飛躍的に成長できる」とクロスフィールズの副代表で、法人営業マネージャーの中山慎太郎さんはいいます。
会社の看板が通用しない中、日本企業の人がたった一人で飛び込み、持っている引き出しを全部開けてチャレンジする。そして、その仕事が現地に役立ち、価値を生む。こうした強烈な原体験が、その人を覚醒させる、と考えています

確かに、このような苦境を乗り越え、課題を解決した時の達成感と、そこから得られる自信はハンパではないでしょう。
じつは、その好例が、「1カ月、何もできなかった」という食品メーカーの研究者だそうです。
「お腹を壊したときに、クリスタルグァバの葉を煎じた飲み物を飲んで回復したのですが、そこからヒントを得て、この葉のお茶を開発。残り2カ月で商品化までこぎつけ、現地に新たな収入源を生み出したのです。
この経験で相当な自信がついたようで、出発前は下を向いて話すような人だったのに、帰国後の報告会では上を向いて意気揚々と話していた。今では、研究所を元気にするというコミュニティを立ち上げ、精力的に活動されています。もともとあったパッションが、強烈な原体験によって、さらに引き出されたのでしょう」

留職プログラムは、個人では申し込めず、法人契約となりますが、「やってみたい!」と会社を説得し、留職を実現した人もいるそうです。

「最近、成長が止まっている」と危機感を覚えている人は、意を決して、会社に直談判してみては? 人生が変わるかもしれません。


【留職・ポイント】
・新興国の社会課題の現場に一人で派遣され、自らのスキルや経験をフル活用して現地の課題を解決する
・苦難をのりこえることで、大いなる自信につながる
・これまでに32社・約150人がおこなっている
・派遣期間にもよるが、数百万円の費用がかかる

【問い合わせ・申込み先】
NPO法人クロスフィールズ
URL:http://crossfields.jp/

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杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://officekaitai.xsrv.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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