【会社を辞める必要なし。才能開花の例も】ビジネスの世界でも“レンタル移籍”? 6~12カ月、ベンチャー企業で働き、自分を磨ける「ローンディール」

 

プロサッカー選手が、他のチームに期間限定で移籍をする“レンタル移籍”。この仕組みが、ビジネスの世界にもあったら、移籍する人・移籍させる企業・受け入れる企業の三者にメリットがあることでしょう。移籍する人は異なる環境のなかで自分を磨きあげられますし、移籍させる企業は社員の視野を広げられ、実力アップを図れます。受け入れる企業は、一定期間、貴重な戦力を得られるわけです。

そんな“レンタル移籍”の仕組みを現実にしたのが、(株)ローンディール。2015年に創業したベンチャー企業です。

気鋭のベンチャー企業150社から、レンタル移籍先を選べる

同社の「ローンディール」プログラムでは、会社に所属している人が、6カ月~1年にわたって、他の企業に“レンタル移籍”することができます。

昔からおこなわれてきた「出向」と似ていますが、大きく異なるのは、移籍先が、縁もゆかりもないベンチャー企業であることです。現在は150社から選べます。一例を挙げると、人工流れ星事業を手がけるALE、シェアNO.1のクラウド会計ソフトを提供するfreee、次世代型電動車イスを開発するWHILL、病児保育などの社会問題を解決するNPO法人フローレンスなど、気鋭の企業が数多く名を連ねています。

このなかから、希望の企業を選び、面接などを経て、双方のマッチングが成立したら、一定期間、一社員として働くことになります。

最先端のビジネスを生み出すベンチャーマインドが身につく

「ローンディール」プログラムは、レンタル移籍者、貸し出し企業、受け入れ企業のすべてにメリットがあります。

まず、レンタル移籍者のメリットは、なんといっても、まったく異なる仕事を経験することで、ビジネスの実力を高められることです。

これまで縁もゆかりもなかった業種や社風の企業に飛び込んで働けば、自社との違いに驚くはず。「とくに大企業のビジネスパーソンにとって、ベンチャー企業のやり方は、カルチャーショックの連続」とサービスの発案者である原田未来社長はいいます。

「たとえば、ベンチャーは、大企業と比べ、圧倒的に仕事のスピードが速い。資料作成に何日もかけるな、というのが普通です。また、ベンチャー企業は、新しいことに挑んでいるので、上司も正解が分からず、部下に考えさせる傾向があります。加えて、大企業では外注で済ます仕事も、資金の乏しいベンチャーでは自ら工夫して取り組むのが当たり前です。大企業の人は、面食らうことが多いでしょう」

このような環境に半年でも身を置くことで、移籍者は、ゼロからイチを生み出す最先端のベンチャー企業の裏側を知ることができます。そして自らもベンチャーマインドを身につけられるというわけです。

ローンディールの原田未来社長。このプログラムを発案し、実現するために起業した

 

プロジェクトを自ら仕切る、タフな体験ができる

さらに、ローンディールでは、受け入れ企業に対して、「レンタル移籍者がオーナーシップをとれるプロジェクトを一つ持たせてほしい」と要望しています。半年~1年の間に、移籍先の企業のスタッフを束ねながら、プロジェクトの結果を出さなければならないというわけです。後述しますが、じつは、受け入れ企業もサービス利用料を支払うので、成果をシビアに求めてきます。

「精神的にかなりキツいと思いますが、タフな経験を積まないと成長しません。受け入れ企業には、事前にプロジェクト設計書をつくってもらい、どんな仕事ができるかを明確にしてもらっています」(原田社長。以下同)

移籍者は隠れた才能を開花させる人も。三方良しのサービス

これまでのレンタル移籍者は12人。開始当初と比べると、皆、明らかに成長している、と原田社長はいいます。所属している大企業で自分の能力を持て余していると感じていた人が、ベンチャーにレンタル移籍したところ、大活躍している例もあるそうです
「ある程度決められたルールの中でやることが得意ではない人、というのが存在します。そういう人が、アイデアを出し、ゼロからイチをつくる仕事が見事にハマり、今や社長の右腕として活躍するようなケースもあります。大企業では開花しにくい人を開花させられる、という手応えも感じています」

このようなイノベーションを生み出せるような人材が育てば、貸し出し企業は、大きな果実を得られます。
「受け入れ企業から見れば、半年間でも腰を据えて仕事に取り組める人材が来てくれることで、人手不足で手をつけられていなかった新規プロジェクトに着手できます。三者にとってメリットがある形に、プロジェクトを設計していくのが、ポイントです」

料金体系は、貸し出し企業と受け入れ企業の双方が、ローンディールに、手数料(月10万円~)を支払い、給料は貸し出し企業が負担する仕組み。貸し出し企業は、別途、月15万円の基本料もかかりますが、2018年6月スタート分までは無料です。

自身の悩みから、プログラムを考案

ちなみに、原田社長が「ローンディール」プログラムを考案したきっかけは、自身の悩みから。新卒で入社したベンチャー企業・ラクーンに13年間勤めていましたが、居心地の良い環境で成長速度が弱まっているという思いを抱いていたそうです。
「外の世界で揉まれた方が成長すると思いましたが、ラクーンという会社に対する愛着は深く、やめたいという気持ちはまったくありませんでした。そんな葛藤をしているなかで、僕のように、『会社にいながら、外の世界を体験したい』という人は他にもいるのでは、と考えたのです」

貸し出し企業は大手企業が多く、これまでにNTT西日本や関西電力、トレンドマイクロなどが活用しています。2018年度も10件の導入が決まっているそうです。
「受け入れ先のベンチャー企業からも好評で、たいがい、『また話があったら、よろしく』と言われます。今後の課題は、移籍者が元の職場に戻ってどう活躍するか。レンタル移籍修了後にも1年ほどメンターとして近況を聞いたり、貸出企業の上司にも移籍先を疑似体験してもらったり、とさまざまな手を検討しています」

「ローンディール」は企業間で契約を結ぶプログラムであるため、個人では申し込めませんが、「私もレンタル移籍で自分を鍛えてみたい!」という人は、会社にかけあってみてください。


【ローンディール・DATA】
実施期間:6カ月~12カ月。受け入れ企業との話し合いで決まる。週3回
実施時間:基本的にフルタイム。受け入れ企業との協議によっては週3回勤務なども可能
場所:移籍先候補はベンチャー企業150社。東京都内の企業が多い
受講資格:在籍している企業と移籍する企業の契約になるため、在籍企業の同意が必要。主なイメージは、「転職経験がなく入社10年程度」「新規事業担当・次世代リーダーと期待する人材」だが、とくに制限はない
体験内容:レンタル移籍先のベンチャー企業で、一社員として働く。何らかのプロジェクトのリーダーを任せられることが多い
研修にかかる費用:貸し出し企業は基本料・月15万円+税(2018年6月開始分まで無料)と、個別サポート料金・月10万円+税。受け入れ企業は利用料が月10万円+税(4カ月目以降は月20万円)。
賃金:これまで通り、貸し出し企業が支払う
体験後の就職:なし

(応募締め切り)
とくになし

(問い合わせ・申込み先)
(株)ローンディール
メール:info@loandeal.jp
URL:http://loandeal.jp/

杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://office-kaitai-shinsyo.blog.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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