【46歳が社外で武者修行】「異業種の現場で働いたことで、人材育成に大事なことに気付かされました」~「大人の武者修行」体験談~

 
「大人の武者修行」中の一風景。物語コーポレーションのさまざまな立場の人たちと対話し、会社に浸透するDNAを感じ取った
会社の仕事から一時離れて参加するメリットとは?

こんにちは、「30歳からのインターンシップ」編集長の杉山です。

今の会社を辞めずに、サービス業の優良企業で数日~数週間”武者修行“ができる「大人の武者修行」http://shugyo.jp/)をご存知でしょうか。

公益財団法人・日本生産性本部の「サービス産業生産性協議会(SPRING)」が2014年に始めた社会人向けインターンシッププログラムで、これまでに100人以上の人が参加し、さまざまな企業で“修行”しています。

※過去記事はこちら。2018年度の募集も開始されています。

その“修行”には、会社の仕事から一時離れておこなうほどのメリットがあるのでしょうか?

そこで、実際に「大人の武者修行」を体験した、川岸賢さんにお話を伺いました。川岸さんは、自動車ディーラーのネッツトヨタ栃木・宇都宮台新田店の店長。46歳のときに、焼肉チェーン「焼肉きんぐ」などを経営する物語コーポレーションに約1カ月間、働いたそうです。一体、何を学び、本業に生かしたのでしょうか。

ネッツトヨタ栃木・宇都宮台新田店の店長を務める川岸賢さん

「部下の育て方」を学ぼうと参加

――まずは、これまでのご経歴を簡単に教えてください。
川岸
自動車整備の専門学校を卒業した後、ネッツトヨタ栃木に入社しました。当初はエンジニアをしていて、29歳の時にサービスマネジャー、さらに39歳の時に店長になりました。
2つの店舗を経て、2年前から現在まで宇都宮台新田店で店長をしています。いま47歳です。

――「大人の武者修行」には、昨年(2017年)チャレンジされたそうですが、なぜやってみようと思われたのですか?
川岸
最も大きな理由は、「部下の育て方を見つめ直したい」と考えていたからです。

弊社の全社的な課題として、店長が変わると店舗の業績も変動してしまうことが挙げられます。これは何を意味するかといえば、「人が育っていない」ということ。その要因をリーダーである自分に指先を向けて考え「私のリーダーシップには何かが欠けているのではないか?」と思うようになりました。

そんなときに、弊社の役員から「『大人の武者修行』に行かないか」と打診されたのです。弊社は、すでにこのプログラムで4人を参加させていて、私もその存在を知っていました。

「大人の武者修行」に参加すれば、他社の人材育成の方法を学べるはず。それに加えて、私は、新卒で今の会社に入ったので、外の世界を見てみたい気持ちも強く持っていました。「これは渡りに舟だ」と即OKしました。

16歳の高校生と一緒に、厨房で汗を流す

――数ある修行先のなかから、焼肉チェーンを営む「物語コーポレーション」を選ばれましたね。
川岸
はい、会社よりも個の尊厳を上に置くという企業理念にひかれました。ここなら、私が学びたいことが学べると感じたのです。

物語コーポレーションでは約1カ月間、修行をしました。
前半の2週間は大阪の東住吉にある「焼肉きんぐ」の店舗で働きました。後半の2週間は豊橋本社や東京本社に行き、本部の各部署の方や多様な業態の店長さんと話し、会議にも参加させていただきました。

――焼肉店では、どんな仕事をしたのですか?
川岸
それこそ、一従業員として働きましたよ。16歳の高校生と並んで、あいさつの練習。営業中は、厨房で牛肉の係を担当し、注文に合わせて、カルビやハラミなどを次々とお皿に用意していました。時間も、昼の1時から夜の10時まで働いたり、閉店までいたり、と普通のスタッフと同じように働きました。

――46歳にはキツい内容ですね。
川岸
でも、そうやって普通に働かせていただいたのが、すごく良かった。この店は、店長が交替してから、人が育ち、業績が上がっていたそうなのですが、店長と一緒に働けたおかげで、その理由が納得できました。これまでの自分に欠けたことにも気づくことができました。

自分で考えて動ける部下の育て方とは?

――その店長から、何を学ぶことができたのですか?
川岸
「自分で考えて動ける部下の育て方」です。

私が働いた店のスタッフは、若くても、指示待ちではなく、自分で考えて仕事をしていました。なぜそんなスタッフが育つのか。

店長のコミュニケーションのとり方を見て、まず気づいたのは、何か作業を教えるときに、こと細かく理由を説明することでした。

たとえば、牛肉は部位ごとに引き出しに入れて保存されていて、「何がどの引き出しに入っているのか、できるだけ早く覚えてほしい」といわれました。その時、「なぜかというと、覚えていれば、お皿に並べて、お客様にお出しするスピードを1秒でも早くできるから。とくに混雑時には、その1秒の積み重ねが、顧客満足を大きく左右する」と説明されたのです。

こう言われたことで、私は場所を覚えることの大切さが腹に落ちましたが、普段の自分を省みると、ここまで細かく理由を説明していなかったんですね。だから、スタッフは、作業の背景にある考え方がわからず、自分で考えようがなかったのだと気づきました。

また、「焼肉きんぐ」の店長は、次にやるべき作業を、細かく指示するのではなく、「何をすればよいと思う?」とスタッフに考えさせて、言わせていたのも印象的でした。こうすれば、自分で考えるし、「自分で言った以上、やらなければならない」という責任感も芽生えます。

ミーティングを少人数にして、さんづけ

――それを踏まえて、ご自身のお店でも実践された?
川岸
はい、元の職場に戻ってからは、何か教える時は理由まで説明し、ああしろこうしろと指示しないで、何をすべきか、自分で考えてもらうようにしました。「本当はコレもやったほうがいいのに」と思うこともあるのですが、そこはガマンしています。

あと、もう一つ、マネさせていただいたのは、「スタッフが意見を言いやすい環境をつくる」ことです。

「焼肉きんぐ」のミーティングでは、アルバイトも自分の意見をハッキリと述べているのですが、「ミーティングが少人数」なんです。うちの店だと、全25人を集めてミーティングをおこなっていたのですが、これだけいたら意見を述べなくても目立たないので、消極的になる人が出るのは当然ですよね。

また、役職で呼ばずに、“さんづけ”で呼ぶのも新鮮でした。店長どころか、会長まで「小林会長」ではなく「小林さん」と呼んでいた。小さなことかもしれませんが、上下関係をなくし、コミュニケーションを活発にするには、大事なことだと思うのです。

そこで、店に戻ってからは、ミーティングを話題ごとに分け、少人数でおこなうようにしました。また、自分のことを店長ではなく、さんづけで呼んでもらうようにしました。

――そうすることで、何か効果は出ましたか?
川岸
店舗の雰囲気は変わってきたと実感しています。かつてはミーティングでほとんど意見が出なかったのに、今では活発に発言が飛び交うようになりました。さらには、社会貢献活動や店内イベントなどテーマごとに、自発的な小集団活動がスタートするようになりました。

――そこまで変わりましたか!
川岸
さらに、修行を通じて得た気付きを会社にフィードバックすることで、会社の取り組みの強化につながったこともありました。物語コーポレーションでは当たり前のように社内会議をウェブでおこなっていました。弊社では、その時期、ウェブ会議がスタートしたばかりでした。私が修行先で気付いたことを会社と共有したこともあってか、その後、様々な社内会議がウェブに切り替わっていきました。ウェブ上で会議をすることで、月に数回、本社に行く手間がなくなりました。生産性も上がったのではないかと思います。

――結びに、この記事を見て、「大人の武者修行」にチャレンジしようか悩んでいる人にメッセージをお願いします。
川岸
迷うことなく、チャレンジしたほうが良いです。人生、1回きりですからね。一歩踏み出せば、必ず何か良いことが自分の身に返ってくる。マイナスになることは一つもないと思います。

私も、また行くチャンスがあったら、別の会社でも修行してみたいです。人間、いくつになっても、勉強。今、47歳ですが、50歳を超えても勉強したいですね。

――本日は、ありがとうございました!


46歳で異業種での武者修行にチャレンジした川岸さん。「修行中は、新たな文化に触れることで、次々と知恵が出てきた。『俺、考えているな』とワクワクしていましたよ」と目を輝かせて話していました。他社のノウハウだけでなく、刺激が得られ、人生に潤いをもたらす。40代や50代の方も、そんな体験をしてみたくはありませんか? 

【問い合わせ先】
「大人の武者修行」事務局(公益財団法人・日本生産性本部「サービス産業生産性協議会」)
ホームページ:http://shugyo.jp/

杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://office-kaitai-shinsyo.blog.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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