【1日だけの仕事旅行を研修に活用】「自分の仕事を見つめ直すことができ、部下とも建設的な会話ができました」~ひまわり福祉会の事例~

 
瀬尾さんが仕事旅行で訪れたネイルサロン。仕事旅行では多様な分野の“旅行先”が用意されている

 

こんにちは、編集長の杉山直隆です。

先日、1日だけライトな職業体験ができる「仕事旅行」をご紹介しました。

個人で申し込めるサービスですが、法人が、研修メニューとして取り入れている例もあります。

ということで、その一つである、社会福祉法人ひまわり福祉会に話を伺いました。
ひまわり福祉会は、東京都内に8つの保育園と8つの学童施設、介護福祉施設を運営する社会福祉法人。2016年から仕事旅行を、保育士や介護職員などが受ける研修の一つに導入したそうです。

250人の職員が、自分で選んだ仕事旅行先へ

なぜ、仕事旅行を導入したんでしょうか? 専務理事の橘由佳さんに伺いました。
「就職をすると、学生時代にあったような社会見学がなくなり、自分と違う仕事に接する機会がほぼなくなります。しかし、長年、一つのカテゴリーだけで過ごす毎日を送っていると、視野が狭くなりがちです。そう考えたときに、見つけたのが仕事旅行でした。自分とまったく違う仕事をしている人と触れ合えば、視野が広がるし、自分たちの使命を見出す一助にもなるのではないか。そんな期待から導入しました」

仕事旅行のメニューのうち、金額などの条件から、会社側で40~50メニューをチョイス。そのなかから自由に選べる形にしました。250人いる職員の大半が、興味のある「仕事旅行」に行ったそうです。

お米屋さんやネイルサロンで1日就業体験

実際、研修の成果はあったのでしょうか。ひまわりキッズガーデン城山・園長の瀬尾季子さんに話を伺いました。瀬尾さんは、保育士免許を取得し、民間保育園に5年間勤めた後、ひまわり福祉会に転職して今年で14年目。8年前から園長をしているといいます。

お話を伺った、ひまわりキッズガーデン城山・園長の瀬尾季子さん

 

仕事旅行先は、2016年は、東京の裏原宿にある小さなお米屋さん、2017年はネイルサロンを選んだそうです。

「お米屋さんを選んだのは、保育の仕事をするなかで、『食事を大事にしていきたい』という考えがあったから。玄米を精米させてもらったり、お米の梱包をしたり、とプチお米屋さん体験をさせていただきました。ネイルサロンは、この仕事をしているとネイルアートができないので、すごく興味があったのです。爪を整えることはできるので、20年分の甘皮をとってもらいました(笑)」

こう聞くと、レクリエーションのような感じですが、それぞれの旅行先で、仕事に関する収穫もあったそうです。

自分の業界に欠けがちな視点に気づける

「まず、お米屋さんには4時間ほど滞在したのですが、その間、50代ぐらいの店主の方に、小さなお米屋さんがどう生き残っていくのか、という経営論をたっぷり聞いてきました。そこで痛感したのは『サービスの視点の大切さ』です。店主さんは、常にお客様に対するサービスを考えていましたが、保育の仕事はどうかというと、『面倒を見てあげている』と考えがちで、『子どもたちや保護者の方にサービスを提供している』とはなりにくい。しかし、私たちは、民間の保育園ですから、ある意味、サービス業なんですよね。改めて自分の仕事への向き合い方について考えさせられました」

ネイルサロンでも、ネイリスト養成スクールの講師をしていたベテランのネイリストに、1時間半、マンツーマンで、がっつり話を聞いたそうです。

「その会話のなかで印象に残ったのは、『ネイリストにとって大切なのは、デザインすることではない。もともとの爪をきれいに保つこと』という言葉です。表面的な仕上がりばかりに目がいきますが、それで、爪の状態が悪くなったら、何にもならないというわけですね。これは保育にも言えること。大人が『良い』と思う遊びを提供するのではなく、子ども自身がどんなことに興味・関心を示しているのか、何に困っているのかなど、目の前の子どもの姿をしっかり捉える。そして、大人目線ではなく子どもたちの状況に合わせて、遊びの環境を整えていくことが大切です。どこの業界も、ベースがあって、その上でデザインなどの強みを足していくのが大事。それを間違えてはいけない、と再認識しました」

部下との会話が生まれ、前向きな意見交換ができる

このように、「仕事につながるさまざまな発見がある」ことの他にも、もう一つ大きなメリットがあった、と瀬尾さんはいいます

「それは、仕事旅行の話をきっかけに、部下の保育士と、今の仕事の改善策を話し合えることです。『仕事旅行、どうだった?』と聞くと、自然と雑談が盛り上がります。その流れで、『じゃあ、その経験を、保育の仕事にどう生かそうか?』と聞くと、前向きな意見が出てくるんですね。たとえば、ある人は、ヨガ教室などを開いている変わり種のお寺に行ったのですが、『寺が、地域のコミュニティの中心になっていた。保育園も、地域コミュニティの中心になることを考えてもよいのでは』という意見が出てきました。座学研修では、なかなかこういう意見は出てこないと思います」

異業種の前向きな人や企業などに出会うと、自分にも前向きな気持ちや考えが伝染するものです。わずか1日だけの就業体験でも、そうした効果があるのでしょう。

研修の効果が見えにくいことから、社会人向けインターンシップを研修に活用している企業はまだまだ少数派。ですが、今の研修メニューに行き詰まりを感じているとしたら、導入しても面白いかもしれませんね!
(了)

杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://office-kaitai-shinsyo.blog.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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