【運営者インタビュー】「ママインターンとは、生き方を考えること」~あっとわん・河野弓子代表理事

 

「なぜ社会人向けインターンシップを始めたのか」「どんな思いでおこなっているのか」「有意義なものにするための工夫とは」――。インターンシップを選ぶときには、運営者側の声も聞いておくと、より選びやすくなるでしょう。

そこで、「春日井市東部子育てセンター」「春日井市」、二つのママインターンを手がけているNPO法人あっとわん代表理事の河野弓子さんに、お話をお伺いしました。


――まず、NPO法人あっとわんとはどんな団体なのか、簡単に教えていただけますか。

河野
「自立する市民の場づくり」を理念に、2000年に発足したNPOです。主に「子育て中のお母さんを支援する」事業を手がけています。

2003年に、愛知県の指定を受けて発達障がいを持つお子さんの支援事業を開始し、就学前のお子さんの療育施設を運営しはじめました。2007年からは春日井市より委託を受けて、障がい者生活支援センターもスタート。さらに、2010年からは、春日井市東部子育てセンターも指定管理者として管理運営しています。これらを、26人のスタッフでおこなっています。

複数の事業を展開することは相乗効果を生んでいます。発達障がいのお子さんの支援をすることで、子どもに対する接し方のような、子育てセンターでも使えるノウハウがたまっていますし、子育てセンターで相談を受け、私どもで運営する発達障がいの施設を紹介することもあります。

高蔵寺ニュータウンのショッピングセンター内に事務所を構える

 

――河野さんご自身は、どのような経緯であっとわんを立ち上げたのですか?

河野
もともと私は大学を卒業した後、一般企業の人事部で働いていました。その後退社し、子育てをしながら、子育てサークルで活動したり、ミニコミ誌や幼稚園選びの情報誌を制作したりしていました。その活動の延長で、子育て中のお母さんを支援するNPOとしてあっとわんを立ち上げたのです。

いまは、あっとわんでの仕事をしながら、名古屋大学の大学院の博士後期課程に在籍していて、「育児期の女性の学び」を研究しています。大学の非常勤講師として社会福祉や教育原理などを教えていたこともあります。

――2014年に、東部子育てセンターでママインターンを始めた経緯を教えてください。

河野
最初のきっかけは、センターのスタッフを確保したいと考えていたことです。いま子育てをしている若い女性がボランティアで関わってくれればと思っていたのですが、なかなか集まりません。そこで若いママたちに意見を聞くと、「子育て支援にはかかわってみたい」人は多かったのですが、「フルに働く余裕はないし、精神的にもそこまでがんばるつもりもない」「タダで働くのはちょっと……」という声が聞かれました。

そこで考えたのが、ママインターンです。期間限定で、週1~2回、短時間働くだけなら、フルに働かなくても子育て支援を体験できる。昼食代と交通費程度だけど、お金ももらえるとしたら、どう? と聞いたら、「やってみたい」という人がいたので、始めたわけです。

この仕組みは私たちにとってもメリットがあります。一定期間だけでも、仕事を手伝ってもらえますし、これでセンターの仕事に興味を持ってくれれば、スタッフとして加わってもらえる可能性もありますからね。

――4年で22人の方が参加し、評判も上々のようですね。

河野
おかげさまで、「やってみて良かった」という声をたくさんいただいています。一番多いのは「子育てしながら働くイメージがわいた」という声ですね。また、「家事をする時間が削られることで、ダラダラと家事をするわけにはいかなくなり、生活にメリハリがついた」。あるいは、「自分がいなくても、子供が立派に留守番できることがわかった」といった感想も聞かれました。

ママインターンで参加していた人のうち、4人は、「引き続き、センターの仕事に携わりたい」とあっとわんの正規のスタッフになりました。今では、中心になって活躍してもらっています。

――ママインターンを成功させるために、気を付けている点は何でしょうか。

河野
最もトラブルになりやすいのは、「聞いたことと実際にやっていることが違う」こと。それをできるだけ排除するように努めています。

まずは、インターンをするためには、説明会に参加することを条件としていて、この場で、インターンの内容を事細かく説明しています。

その際には、「ルール」についても、しっかり時間を割いて話します。インターンは、「ボランティア以上 スタッフ未満」といった位置づけですが、働くという意味では通常のスタッフと変わりませんから、ルールは守っていただかなくてはなりません。具体的には、「報告・連絡・相談を心がけること」「自分一人で勝手な判断をしないこと」といった仕事の進め方や、休む時の連絡方法、守秘義務といったことです。これらのルールを事前に話しておくことで、「もっとゆるいと思っていた」などという誤解がなくなります。

また、マネジメントの担当者を置いて、インターンとこまめにコミュニケーションをとるようにもしています。そうすれば、インターンがひそかに抱いている仕事上の不満や不安を解消できますし、現場とインターンの意思疎通をとりもつ役割もできます。ママインターンをするにあたり、マネジメントがしっかりしているかどうかは極めて重要だと思いますね。

このような仕組みがあるので、参加を希望された人は、あまり厳しく選別することなく、できる限り参加してもらうようにしています。「選別しないともめませんか?」といわれますが、今のところ、もめたことはありません。正直、途中で合わずに辞めた人もいますが、砂をかけるように辞めていった人はいませんよ。

――2016年からは、春日井市でもママインターンを始められましたね。

河野
はい、東部子育てセンターのママインターンで実績を積んだことで、市全域でもやろうという話にこぎつけられました。

市のママインターンは、派遣先がメーカーやホテルなど多岐にわたっていたり、期間が約2カ月だったり、と形式は違うのですが、マネジメントに関しては子育てセンターのノウハウがかなり生かされています。不安なく有意義な時間が送れるように、何度も参加者との面談の場を設けたり、過去の経験者をメンターとしてつけたりしています。

また、受け入れ企業には、「やれる範囲のことをやっていただければよい」という一方で、「パートに出たいけれども不安を抱えている女性の気持ちを理解してほしい」という話をしています。

まだ試行錯誤している点もありますが、初年度に参加した17人からは「自信が持てた」「育児との両立の不安が払しょくできた」などの声があり、手ごたえを得ています。

――春日井市や東部子育てセンターのママインターンを始めようと考えている人に、メッセージをいただけますか。

河野
ママインターンで働き方を考えるということは、生きることを考えること。このインターンを通して、「自立すること」「生きること」について何かを得ていただければ嬉しいです。興味のある方は、ぜひ説明会に足を運んでみてください。
(了)

●春日井市東部子育てセンター・ママインターンの詳細は:http://30intern.com/archives/183
●春日井市ママインターンの詳細は:http://30intern.com/archives/151

杉山 直隆「30歳からのインターンシップ」編集長

投稿者プロフィール

ライター/編集者。オフィス解体新書・代表。
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、経済系編集プロダクションで雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・ディレクション・執筆を、約20年ほど手がけた後、2016年5月に独立(屋号:オフィス解体新書)。http://office-kaitai-shinsyo.blog.jp/ 2017年8月に本サイトを立ち上げる

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